人材 × デジタル
善家 正寛 / デジタルHR推進室長
2022.03.14

将来の総合商社・双日のあり方を考えたとき、全社員がデジタルスキルを共通言語として身に付けていることは必須だと考えています。そこで数年前から、社員のリテラシー向上を目的としてITパスポート取得を促進、また、デジタルを事業の変革・競争力強化につなげる取り組みとして、社長をトップとするDX推進委員会が組成されています。デジタルに関する人材育成と、事業へのデジタル活用を連動させながら推進することにより、既存業務の効率化や新しいアイデア・提案が可能になるでしょう。
双日ではデジタル人材育成のために、基礎編と応用編からなる独自のIT教育プログラムを構築しました。基礎編では、ITリテラシー、情報セキュリティ、データサイエンス、デジタルマーケティングの4分野を、2023年までに全ての総合職社員が身に付けます。特徴は、攻めと守りの両輪を理解。
自分で高度なデータ分析ができたりプログラムを作ることが可能となる応用編では、2023年までに300人程度の修了者を育成。このコア人材が各組織のデジタルリーダーとなり、周囲を巻き込んでいく姿を期待しています。この育成プログラムの説明会を行ったところ、事業会社の方々や海外の現地スタッフからも「早く受講したい」との声が届き、非常に嬉しく思っています。すでに事務職ではRPAを使った業務効率化も進み、この2年ほどで2万時間の削減ができました。こうした経験が次第に共有され、デジタル化を受け入れる環境は整ってきていると感じています。
人事部では2021年4月にデジタルHR推進室を新設しました。これまで秘匿性を重視し保管してきた人事データを、個人特定できないかたちでオープンして分析することにより、定量データをもとに人事施策の提案を行うことが可能となり、より納得感が得られると考えています。
双日が目指す2030年の姿「事業や人材を創造し続ける総合商社」を実現するために、人材力の最大化は必須です。そのための戦略のひとつとして人材KPIを策定しました。その内容は、女性総合職における海外・国内出向経験者割合を40%に、デジタル基礎研修修了者を総合職全員に、海外グループ会社のCxOを50%に、チャレンジ指数を70%に、二次健診受診率を70%に、育児休暇取得率を100%とすることです。この人材KPIは動的であり、想定より進捗が早く達成した場合は再設定するなど柔軟に見直していきます。企業価値向上を目指す双日のヒトづくりについて、このKPIをもとに進捗をはかり続けていきます。
デジタル技術やその必要性を社内に啓蒙するため、「この事例を使えばわかりやすい?」と試行錯誤しながらアプローチする取り組みは、アナログ的。それはヒトの成長を第一に考えるうえでは大事なことだと考えています。私は入社以来、双日の成長スピードに引っ張られて成長してきました。ここからは、自分が双日の成長を考え引っ張っていく立場となりたいと思っています。