転職の先の未来へ
水無瀬裕貴/デジタル共創推進部デジタル共創推進第一課
(さくらインターネット株式会社出向)
2025.03.28

私が大学を卒業してはじめて入社したのは、通信キャリアでした。そこでは、まずは携帯電話販売代理店の担当営業をしていました。毎月の販売目標達成に向けたアクションを決めたり、販促活動を提案したりすることで、携帯電話やその他商材の販売数を上げるための支援を行っていました。平日は店舗回りを行い、週末には商業施設や量販店の出張イベントで着ぐるみを着ることもありました。そうした仕事を通じて、携帯電話1台を売ることの大変さを学ぶと同時に、お客さまへの感謝の気持ちが大きく芽生えていました。
私はずっと海外で働きたいと思っており、その後希望が叶いタイで2年間勤務することができました。タイでは、日系企業のオフィスや工場、倉庫に、IT機器一式を販売していました。インターネット回線やサーバー、ネットワーク機器、Wi-fiはもちろんですが、テレビ会議のシステムや、入退室の電子鍵や防犯カメラなど、さまざまなものを扱っていました。タイ語もほとんど話せないのに、現場監督のようなことまでしていましたね。そこでは、文化の違う国で仕事をする時のコミュニケーションの大切さを学びました。 日本に帰国した後は、海外の通信インフラ事業への新規参入や、M&Aの検討をする業務を行っていました。
双日に転職したいと思ったきっかけは、通信タワー事業ですね。携帯電話の基地局をつけるための鉄塔を建てて貸し出すという、あまり他社が手をつけていなかったビジネスにいち早く取り組んでいた双日に興味を持ちました。通信キャリアにいたこともあって、4Gから5Gになって、どんどん基地局が必要になり、この事業はもっと伸びるだろうという肌感もありました。双日に入ったら、通信キャリアでの経験と知見を活かし、海外の通信インフラへの新規投資案件へチャレンジしてみたいと考えていました。
双日に入社して、まず私が感じたことは、思っていたよりもかなり年齢層が若く、若手のパワーにあふれた会社だということです。その一人ひとりが受け身ではなく、自発的にビジネスを進めていく姿勢に、とても驚かされました。また、総じて数字に対する理解が深いという印象でした。
私は双日に入社してまだ2年目ですが、そんな環境の中でいろいろな経験をさせてもらっています。入社後は、入社前から注目していた通信タワー事業を行う部署に配属されました。その部署では、ミャンマーやフィリピンにおける既存事業の管理・支援だけでなく、国内外における新規事業の検討を行っていました。通信キャリア時代に得た通信やネットワークの知識・海外での経験を活かすことができたと思っています。
昨年からは、双日のグループ会社であるさくらインターネットに出向し、さらに自分の可能性を広げるチャレンジの機会をいただきました。同社は、自社で保有・運営しているデータセンターからクラウドサービスやハウジングサービスなどを提供している会社です。そこで私は今、生成AI向けのGPU(※1)クラウドサービスの営業・事業推進を担当しています。これは、生成AIや自動運転などの研究開発を行う企業・研究機関へGPUをお貸しするサービスです。率直に言うと同社に来る前、私はAIやデータセンターについての知識は全くなく、「チャットGPTってすごいな」くらいにしか思っていませんでした。しかし、実際に各業界の最先端で研究開発をされているお客様のお話を伺うなかで、提供しているインフラの重要性とやりがいを感じます。また、日々の技術的な進化も速く、これから未来はどうなっていくんだろうというワクワク感をいつも感じています。
(※1)Graphics Processing Unit(画像処理半導体)。グラフィックス処理のほか、AI・機械学習の処理に適している
一見すると、かつての私の通信キャリアの仕事と、今私が担っているさくらインターネットでの仕事は、デジタルという点でとても近いものだと思うかもしれませんが、まったく違うんですね。私はデータセンターや生成AIに関してはまったくの素人でしたので、0から勉強しました。本を読んだり、レポートを読み漁ったり、セミナーに参加したりしています。また、双日の生成AIに関するe-learning(※2)も受講したことで、自分の知識の幅を広げることができました。今は、日々さくらインターネットのみなさまにさまざまなことを教えていただきながら仕事を進めています。また、私よりお客さまの方が情報を持たれていることも多いので、とにかくお客さまのところに足を運んで、生の情報を得ることが重要だと思っています。まだまだわからないことばかりでありますが、未経験の分野に飛び込むこと、自分の能力を高めるために挑戦することの喜びを感じています。
そんな私のチャレンジですが、双日からもさくらインターネットからも応援してもらっていると思っています。私の場合は、出向して間もないタイミングであるにも関わらず、2ヶ月間の育児休暇(※3)を取得し、その間は妻のケアと子育てに集中できました。双日もさくらインターネットも仕事に集中するために、個人のライフスタイルも含めて支援していただけているので、本当にありがたく思っています。
(※2)研修制度/e-learning
詳細はこちら:人的資本経営|Sojitz ESG BOOK|サステナビリティ|双日株式会社
(※3)育児休暇・・・仕事と育児の両立支援制度
詳細はこちら:ダイバーシティマネジメント|Sojitz ESG BOOK|サステナビリティ|双日株式会社
男性育休の取得者が語る、キャリアと育児の両立に必要なこと | Article |caravan まだ知らない、世界の色を。|双日株式会社|Sojitz Corporation
これから私がやらなければいけないことが幾つかあると思っています。ひとつが、さくらインターネットのビジネスと、双日のビジネスをつなぐことです。双日の海外事業の知見を活用してさくらインターネットの事業を広げていくということはもちろんのことですが、ITの知見と商社の知見を融合することで、今までにない事業・シナジーを生み出したいと思っています。
もうひとつが、今は生成AIがある種ブームのようになっていると思いますが、これを一過性のもので終わらせたくないと思っています。時が流れて、私の子どもが大きくなった時には、AIが今以上にあたりまえの世の中になっていて、今では想像も付かないような色々な場面で使われていると思います。そんな時、「実はこれ、お父さんの会社で提供しているGPUが使われているんだよ」と子どもたちに言えたら、とてもうれしいことだと思います。