人が動くと、未来が動く。
小原雄太/エネルギーソリューション事業第二部 国内事業課
2026.09.04
大学院では、医療・ヘルスケア分野の基礎研究に取り組み、仮説を立てて検証しながら、論理的に物事を考えることを繰り返していました。研究そのものはとても面白く、毎日研究室で実験に没頭する日々でした。一方で、研究成果が実際に社会へ届くまでには、とても長い時間がかかります。卒業後は、これまでとは違う視点で、多くの人や社会に、直接インパクトを与えられる仕事がしたい。そう考えるようになり、人・モノ・資金を動かしながら、新しい事業を創り出していく総合商社の仕事に興味を持ちはじめました。
数ある総合商社の中でも双日を志望したのは、若手のうちから裁量を持ち、自ら考え、行動することを大切にしている会社だと感じたからです。就職活動で出会った社員の方々は、一人ひとりが自分の仕事に誇りを持ち、自ら事業を切り拓いているように見えました。「この人たちと一緒に働けば、自分も成長できる」。そう確信し、双日への入社を決めました。振り返れば、私が何より惹かれたのは、年次に関わらず「挑戦したい」という意志を尊重し、大きな仕事を任せてくれる双日の企業文化だったのだと思います。
入社後は再生可能エネルギー事業の部署に配属され、希望していた事業投資の仕事ができる事をうれしく思いました。国内の太陽光発電所の開発や建設を担当し、実際の施工現場では、事業主として自分より何十年も経験豊富な建設会社の方々と仕事を進める機会が多くありました。社会人一年目だった私が現場をまとめることは、決して容易ではありませんでしたが、自ら現場へ足を運び、対話を重ねながら、一つひとつ信頼関係を築いていきました。教えてもらうことを待つのではなく、自分から飛び込んでいく。その姿勢が少しずつ周囲との距離を縮め、仕事を前へ進めることにつながったのだと思います。現場で学んだのは、事業は机の上だけでつくられるものではないということです。図面や計画書だけでは見えない課題があり、長年現場を支えてきた方々だからこそ分かる知恵や工夫があります。現場に足を運び、人と向き合い、信頼を積み重ねる。その積み重ねこそが、事業を前へ進める最も大切な要素なのだと実感しました。この経験は、今でも私の仕事の基本になっています。
二年目からは海外案件も担当し、欧州の発電所や蓄電所への投資やエネルギー関連企業の買収にも携わるようになりました。そこでは、案件ごとに条件も関係者も異なり、前例のない判断を求められる場面が数多くありました。誰かが答えを教えてくれるわけではありません。限られた情報の中から仮説を立て、周囲を巻き込みながら、自分で判断し前へ進めていく。その繰り返しが、物事を多面的に捉え、自ら決断する力を育ててくれました。振り返ると、私を成長させてくれたのは成功体験だけではなく、答えのない課題に向き合い続けた経験だったように思います。どんな環境でも、自分で考え、自分で動く。その姿勢こそが、新しい可能性を切り拓く力になると実感しています。
その後、トレーニー制度※を利用して赴いたロンドンでは、企業のM&A(買収)やPMI(買収後の統合)に主体的に取り組みました。もちろん、M&Aは、企業を買収して終わりではありません。異なる企業文化や価値観を持つ人たちが、一つの組織として新たなスタートを切る。そこが、本当の意味での始まりだと感じています。実際に難しかったのは、制度や仕組みを整えることではなく、それぞれが同じ方向を向いて歩み始められる組織の土台をつくることでした。立場や経験、文化的背景が異なれば、仕事に対する考え方も当然異なります。だからこそ大切なのは、「何をするか」を伝えることではなく、「なぜ、それを目指すのか」を共有することでした。人は目指す未来に納得できてはじめて、自らの意思で動き始めます。そのことを、PMIの現場で強く実感しました
この経験を通して、リーダーに対する考え方も大きく変わりました。リーダーとは、人を動かす存在ではありません。組織の一人ひとりが仕事の意義を理解し、「自分も挑戦したい」と思える環境をつくる存在です。組織は、一人の力では変わりません。一人ひとりが主体的に動き、その力が重なり合うことで、初めて新たな価値が生まれる。ロンドンでの経験はそのことを私に教えてくれました。
*トレーニー制度・・・当社は経営人材の育成・確保のため、国内外へ派遣、MBA派遣・語学自己研鑽制度など、様々な研修を行っています。
私には、いつか自ら新たな事業をつくり、育てていきたいという夢があります。その原点には、小学生の頃の記憶があります。父が会社を立ち上げ、休日も返上しながら懸命に働く姿を、子どもながらに見て育ちました。決して楽な道のりではなかったと思います。それでも、自分の仕事に責任と誇りを持ち、新しいことに挑戦し続ける父の姿は、とても格好よく映りました。「いつか自分も、事業をつくる人になりたい」。その想いは、今も私の原点です。
その夢をかなえるためにも、今は目の前の事業を通して、一つでも多くの経験を積み重ねたいと思っています。現場で学んだこと、難しい判断を重ねてきたこと、海外で組織づくりに向き合ったこと。その一つひとつが、将来、事業を生み育てる力になると信じています。だからこそ今経験できることに積極的に挑戦し、そのすべてを未来の自分の糧にしていきたいと思っています。
そして将来は、自分が事業を生み育てるだけでなく、自分と同じように挑戦する人が次々と生まれる組織をつくりたいと思っています。私が先輩から成長の機会をもらったように、今度は私が、次の誰かの一歩を後押しする存在になりたい。一人の挑戦が仲間へ伝わり、組織へ広がり、やがて新たな事業や価値の創出につながっていく。その連鎖を生み出すことが、私の目標です。



