

金属・資源・リサイクル本部
金属資源や鉄鋼分野における上流権益投資及びトレードに加えて、リサイクルを含むサーキュラーエコノミーの事業開発を行い、独自のサプライチェーンの構築を通じて、社会に新たな価値を提供することに取り組んでいます。
本部方針

循環型社会・脱炭素などの社会ニーズや地政学リスクへの対応を機会と捉え、持続可能な社会の実現貢献を重視した事業ポートフォリオへの変革を推進します。
執行役員
金属・資源・リサイクル本部長
松浦 修
昨今の循環型社会・脱炭素などの社会ニーズの高まりや地政学リスクの顕在化は従来型のサプライチェーンの変革が必要であることを大きな課題として浮き彫りにしており、資源リサイクル領域の事業基盤強化と、デジタル化や脱炭素の推進により既存事業のサプライチェーンを高度化することでビジネスモデルを変革し、市況耐性の強化と社会ニーズに応じた新たな価値創造に取り組み、さらなる安定的な資源の供給体制を構築していきます。具体的には以下の重点施策を進めていきます。①石炭事業:当社の成長戦略投資に必要なキャッシュ創出事業として、市況耐性強化のためコスト競争力向上に継続的に取り組みます。同時に脱炭社会を見据え、世界的な製鉄技術の変革を見極めながら、新たな事業機会の創出や必要に応じた原料炭権益の資産入替も進めます。②サーキュラーエコノミー事業:北米電子機器リサイクル事業で価値向上に向けた取り組みを加速させ、規模感のあるビジネスに育てていきます。また二次電池リユース・リサイクル事業の具現化に向けた各ステークホルダーとの共創を進めます。③脱炭素や地政学リスクの低減に資する事業:Direct Air Capture(DAC*1)の研究開発・量産化を目的に設立したCarbon Xtract社を通じて、施設園芸*2 用途などの新たな価値創造に挑戦します。また、多様な調達網の確保が求められる半導体の製造に不可欠なフッ酸の製造事業開発を進めます。④金属資源事業:特色のある資源を長期にわたり安定供給するために、既存権益事業のコスト競争力の強化に引き続き取り組むと共に、社会の変化とニーズを捉えたサプライチェーンの安定化に資する新たな権益取得も進めます。
急がば回れ。しっかりと自分たちが取り組む意義や戦略を組み立てて、その上に案件を積み上げることを意識していきます。
*1 DAC:大気から二酸化炭素を直接回収する技術
*2 施設園芸:光透過性の高いガラスやプラスチックフィルム等の被覆資材で覆った温室、農業用ハウス等の空間を利用して作物を栽培すること
本部の強み
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総合商社唯一の
炭鉱操業自社の豪州炭鉱操業機能から獲得したノウハウをコスト競争力の強化に活用
-
鉄鋼総合商社
メタルワンや
CBMM
(ニオブ鉱山事業)
などの安定収益事業成長市場での事業拡大、新規需要の取り込みを通じて安定収益基盤を拡大
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特色ある
希少資源の
取り扱いニオブ*3 やクロムといったレアメタル、蛭石や蛍石といった鉱産物など、特色のある資源を取り扱い、安定的かつ柔軟なサプライチェーンを構築。加えて、負極材料等の将来性のある新素材の開発にも取り組み中
*3 ニオブ:自動車向け鋼材の軽量化・剛性化などのために高張力鋼やステンレス鋼に使用される鉄鋼添加剤
主な取り組み
事業MAP

ニオブ鉱山事業:CBMM(ブラジル)

DAC装置(イメージ)

金属3Dプリンターで造形した製品:日本積層造形株式会社
事業内容
■ 原料炭事業及び鉄鋼製品事業
世界的な環境意識の高まりや持続的な成長の観点から、一般炭権益事業からの早期撤退を図り、一方で、総合商社で唯一の炭鉱操業機能で蓄積したノウハウを活用し、当社主力原料炭鉱山である豪州グレゴリー・クライナム炭鉱での安定生産とコスト削減を進めています。また、総合商社で唯一の炭鉱操業機能で蓄積したノウハウと既存インフラを活用し、周辺炭鉱の操業請負事業などを目指します。また、三菱商事株式会社との共同事業である鉄鋼総合商社の株式会社メタルワンが手掛ける鉄鋼製品ビジネスにおいて、当社とのシナジーを追求し、協業やサポートを行っています。
■ 金属資源事業
脱炭素や電化推進など世界共通の社会ニーズに合致する安定的な原材料供給に向けて、コスト競争力に裏打ちされた、市況耐性の強い上流資源の確保を目指します。出資参画しているCBMMのニオブは、自動車向けなどの鋼材の軽量化の添加材として全世界的に需要が益々伸びると期待されます。当社との長年にわたる信頼と協力関係に基づき、成長市場であるインドでの拡販や周辺国への横展開のみならず、川下領域で超急速充電や長寿命の特性を持つNTO電池*4 などの新たな用途開発も推進します。また、カナダの鉄鉱石鉱山Kamiプロジェクトへの参画については、鉄鉱石サプライヤーのChampion Iron社および日本製鉄株式会社と合弁会社を設立し、開発に向けた調査を基本合意しました。同鉱山からCO2の排出を大幅に削減できる電炉を使用した鉄鋼生産に不可欠な、高品位の鉄鉱石の産出が見込まれ、本プロジェクトを通じて、脱炭素社会の実現に貢献します。
*4 NTO電池:ニオブチタン酸化物(Niobium Titanium Oxide)を負極に用いた次世代リチウムイオン電池
■ サーキュラーエコノミー事業
脱炭素化や省資源化などの社会ニーズの変化を捉えて、リユース・リサイクルを含むサーキュラーエコノミー事業を拡大するため、金属循環型事業モデルの基盤構築に取り組みます。具体的には、デジタル化を前提として北米・日本における集荷・仕分・粉砕といった機能を有機的に組み合わせ、効率的なオペレーションによる当社ならではの事業基盤構築を目指します。国内ではIT Asset Disposition事業者であるTES-AMM JAPAN株式会社、北米ではカナダの家電・電子機器リサイクル事業者のeCycle Solutions Inc.に出資・経営参画しています。これら金属リサイクル等廃棄物の再資源化を含むサーキュラーエコノミー領域において、規模感のある事業の構築を進めていきます。
■ 社会ニーズに対応した事業
脱炭素社会実現の効果的なソリューションとして、大気中のCO2を直接回収するDACに着目し、2022年より九州大学と同大発DAC技術「分離膜型CO2回収(m-DAC®)」の実用化に向けた関係を構築、2023年には製品実用化と社会実装を目的としてCarbon Xtract株式会社を設立しました。
m-DAC®技術は以下のような特徴を有しています。
- 従来の大規模プラント技術を小型モジュール化して必要な面積を大幅に削減、さまざまな場所・規模の装置を導入可能
- 低エネルギー消費での運用が可能
この技術は農業用ハウスのCO2濃度を調節し、作物の成長促進のみならず、ビルの換気システムにおいても応用が可能です。本技術の普及に向けた取り組みをさまざまなステークホルダーとの共創を通じて、小型・分散型DAC市場におけるリーディングカンパニーを目指します。
組織図

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